トヨタ ライズ ACC アダプティブクルーズコントロールの概要 


ACCを実際に使用して感じたポイントや、注意事項のレビューとなります。


トヨタ製小型SUV ライズに搭載される運転支援装置、全車速追従機能付 ACC(アダプティブクルーズコントロール)。

前を走る車に合わせて、自車のスピードをコントロールしてくれる機能です。

大変便利なのですが、安全に使用するためには機能の本質を理解しておきたいです。

1年間使用して感じた事を元に、使用感や注意点を解説します。

*2021年03月~2021年10月製造のトヨタ ライズが該当となります。

*詳しい使用方法は取り扱い説明書を参照して下さい。




ACCの概要



ライズではフロントガラス上面に設置された、ステレオカメラを使用し前方の道路状況を認識しています。

ACC(アダプティブクルーズコントロール)は、自車が先行車を認識する事で自動でアクセル・ブレーキの制御をし、前車との車間距離を保ったまま追従する機能となります。

使用する際は、ACCをセットしスピード・車間距離を設定する流れとなります。


操作ボタン




ACCに関するボタンは、ステアリング右側に集約されています。

① プラス または RES
② ACCのメインボタン
③ マイナス または SET
④ 車間距離の変更
⑤ キャンセル


セット方法



*車速が40km/h以上、先行車がいる場合が条件となります。
ACCの使用条件が整わない場合には、上記のメッセージが表示されます。

ACCのセット
・②のACCメインボタンを押します。
・アクセル・ブレーキを使い、希望の速度に合わせます。
・③のセットボタンを押します。

速度の変更
・アクセル・ブレーキで速度を変更し③ボタンで再セット
・①③のボタンのみでも速度の加減を変更できます。(押すごとに1km/h、長押しで連続変化します)

車間距離の変更
・④ボタンで長い・中間・短いの三段階で車間距離が変更できます。



ACCがオフ状態

ACCをオンにすると車間と速度が表示されます。


後述しますが、先行車がいない状態でACCをオンにした場合には等速走行となり、スピードの制御はされません。ご自身でブレーキの操作が必要となります。


停止・再セット


先行車が停止した場合には、自車も続いて停止しACCが解除されます。(自分でフットブレーキを踏み、速度調整した場合もACCは解除されます)

その後、2秒間だけは自動でブレーキがかかり停車保持がなされます。




警告が表示され停車保持が解除されるので、自分でフットブレーキを踏まなければなりません。(停車保持機能を持たないサイドブレーキモデルの場合です)

先行車が動き出し再セットする場合には、①の ”+ RES” ボタンを押します。



使用感


ACCの作動中には、車がアクセル・ブレーキの制御をしてくれるのですが、ブレーキのタイミングはやや遅めと感じます。

遅めなので、やや強めのブレーキとなります。


通常同乗者を揺らさないよう丁寧な運転をする場合には、早めに軽いブレーキをかけますが、ACCはそのような制御ではありません。

前車のブレーキランプが光ったのを見てスピードを落とすのではなく、車間距離が短くなってから初めてブレーキの制御が入るので、ワンテンポ遅れる印象があります。

遅いと感じた場合には自分でブレーキ操作をする事になるので、いつでも踏める状態でスタンバイしておきます。

自分でブレーキを踏んだ場合には、ACCは一旦解除される事となります。


車間距離を長めに設定した方が解除される機会は少なく、

前車が速度を落とす → ACCが制御 → 前車が速度を上げる → ACCが制御

とシームレスに航続ができます。

車間距離が広がるので自車の前に割り込みが入るケースが増えるとは思いますが、感覚を掴む意味でも慣れるまでは長めに設定した方が良いと思います。


車が完全に停止した場合にはフットブレーキを踏み、再セットはボタン一つという流れです。

実際に使用した感想としては、充分実用度があると感じます。

車間距離を長めに設定すれば、そこまでの緊張感を持たずに操作を委ねる事ができます。

アクセル・ブレーキ操作から解放される疲労度の軽減は、予想以上の効果を感じられました。


上述しましたが、人の感覚よりもブレーキのタイミングが遅めなので、車間距離を短くすると緊張感が増える事になります。

いつでもブレーキが踏めるように準備をするのですが、極力ブレーキは踏みたくない心理にかられるので、より緊張度が高くなります。

止まりそうで止まらない渋滞の場合には、ブレーキを踏まなければACCの制御が続いてくれます。

一旦停車した場合にはACCが解除されるので、再セットしなければなりません。

ボタンを一つ押すだけなのですが、出来ればその手間も減らしたいのが心情です。



自動解除


先行車の追従走行時に先行車を見失った場合には、追従走行から等速走行に変わります。(40km/h以上で走行の場合)

この場合でもシステム自体は生きているので、先行車を再捕捉する事で追従走行が復活します。

しかし40km/h以下の速度の場合には、先行車を見失った時点でシステムは自動解除される事になります。


その他にもVSCやTRCがオフになった場合や車両のトラブルなど、自動的に解除される条件が様々あります。




ACCのポイント・注意点



前車に合わせて自動でスピードを変え、追従走行をしてくれる ACC。

大変便利な機能なのですが、

”車がブレーキをかけてくれるだろう” と勘違いをしてしまうと、思わぬ事態を招いてしまいます。

ACCを安全に使用するには、自車の認識状態を常に把握しておく必要があります。

現在の道路状況を、自車がどのように認識しているのか?

ACC使用時には、メーターパネル内に常に情報が表示がされています。



白線の認識


自車が白線を認識している事で、車線のはみ出し警告やレーンキープコントロールが機能します。

道路の白線が薄い場合や引かれていない場合には、認識する事ができないので機能しません。



両脇に白線が表示され、認識している状態です。



白線マークが消え、認識していない状態です。



先行車の認識


前を走る車を自車が認識できていないと、追従する事は出来ません。

雨や雪・急カーブなど周りの状況により常に変化します。



車のマークが表示され、前車を認識している状態。



車のマークが表示されていない場合は、前車を認識していません。


先行車の認識が外れると ”ピッ” という警告音と共に、等速走行(クルーズコントロール)に切り替わります。

この時ACCを50km/hにセットしていたならば、50km/hの等速走行に変わります。

等速走行ではスピードのコントロールをしてくれないので、自分でアクセル・ブレーキの操作を行う必要があります。

急カーブでは追従する前車を見失う確率が高いので要注意です。

等速走行中に先行車が再認識された場合にはACC走行が復帰します。

先行車の認識状態によりACC走行・等速走行が繰り返されることになりますが、メーターパネルに ”先行車無し” のメッセージが表示された場合には自動では復帰せず、再度ACCメインスイッチを入れなければなりません。



認識の例


前車認識 X
車線認識 ○


前車認識 ○
車線認識 ○

前車認識 ○
車線認識 X

前車認識 X
車線認識 X



まとめ



昨今の自動車には便利な先進機能がどんどん増えつつありますが、せっかくの便利な機能も使い方によっては活かす事ができません。

取り扱い説明書を熟読し、使いこなせるようにしておきたいです。


しかし安全運転はドライバーの責務、あくまでもサポートというスタンスで捉え、必要以上に頼る事をせずに運転を楽しんでいきたいです。