ダイハツ工業、キーフリーシステムの詳細です。
基本的な操作法から注意点までの解説となります。
トヨタ ライズに装着されている、ダイハツ製キーフリーシステムの解説となります。
*ライズはダイハツからのOEM車両となり、ダイハツ製のキーフリーシステムが使われています。
プロローグ
90年代までは鍵穴にキーを指すのが当たり前だったエンジンの始動。
現在ではキーシリンダーに替わりプッシュボタンを採用する車種が主流となりました。
その後スマートエントリーへと進化し、金属製のキーを使用しない時代へ移り変わりました。
電子的なキーを携帯する事によりエンジンの始動やドアのロックが行える、いわゆるスマートキーと呼ばれる方式です。
このスマートキーなのですが自動車メーカー各社、スマートキーシステム・インテリジェントキーシステム・アドバンストキーレスエントリーと独自の方式を採用しているために、システムの全貌を把握する事は容易ではありません。
キーシリンダー車からの乗り換え組みには戸惑いが多い事でしょう。
ダイハツ工業製のキーフリーシステムについて、基本的な操作法から注意点まで完全ガイドします。
ドアロックの施錠・解錠
ドアロックの操作法にはカードキーから手動操作まで、以下の3つの方法があります。
・電子カードキーによる手動操作
・キーフリーシステムによるタッチ操作
・エマージェンシーキーを使用
電子カードキー
電子カードキーに付いているボタンを押して施錠・解錠を行います。
電子カードキー
トヨタマーク(施錠)と南京錠マーク(解錠)のボタンを使い、ドアのロック・アンロックを行います。
従来のキーレスエントリーと同様の操作方法となり、スマートキービギナーの方にも安心して使える、シンプルで確実な方法と言えます。
キーフリーシステム
電子カードキーを携帯した状態で、リクエストスイッチ(ドアノブの赤枠内)に触れる事でロック・アンロックを行うことができます。
このリクエストスイッチは助手席側にも付きますが、後部ドアには付きません。
電子カードキーをポケットから取り出す事なく、ドアノブに触れるだけでロック操作が可能となります。
キーフリーシステムでは車両側のアンテナで、常に電子カードキーの電波をモニタリングしています。
車両には合計5つのアンテナが設置されており、これによりカードキーの位置が車内か車外なのかを判別しています。(カードキーが車内にある場合には、リクエストスイッチでの施錠はできません)
*アンテナ位置(目視はできません)
車内 センターコンソール内と後部座席下
車外 左右のドアミラーとバックドア
電子カードキーの感知距離は各ドアの取っ手から80cm(リアゲートも同様)となります。
エマージェンシーキー
電子カードキーには金属製の鍵(エマージェンシーキー)が内蔵され、これを使用してロック操作が可能です。
しかしこのキーはエマージェンシーと名が付くように、電子カードキーの電池切れや車両のバッテリー切れなど、緊急時の使用が主な用途となります。
電子カードキーの裏面
電子カードキーにカバーを付けて使用する方も多いかと思われます。
その場合カバーで隠されてしまうので、エマージェンシーキーの存在を忘れてしまいがちです。
緊急時に備え使用法など、事前に確認しておくと安心です。
エマージェンシーキーの取り出しはこちらから。
キーの閉じ込み
電子カードキーを車内に置いたままで車外からドアノブに触れたとしても、キーフリーシステムが電子カードキーの位置を車内と検知しているので、ロックがかかる事はありません。
下の画像のように警告表示されます。
メーター内に警告が表示されます
電子カードキーの電池がなくなり位置を検知できなくなった場合でも、カードキー自体の存在を検出できなくなる為ロックがかかる事はありません。
何らかの用途によりロックしたい場合には、電子カードキーに付属のエマージェンシーキーを使えば、車内に電子カードキーを置いたままロックが可能です。
エマージェンシーキー
エマージェンシーキーの取り出しはこちらから。
節電モード(キーフリーシステムの解除)
電子カードキーを節電モードに設定し、キーフリーシステムを解除する事で、以下の効果が得られます。
・電池の消耗防止
・キーフリーシステムの無効化
・リレーアタックの防止
電子カードキーからは微弱の電波が常に発信されています。
節電モードへ設定する事により、電波の発信を停止させ内臓されている電池の消耗をおさえる事ができます。
節電モードに設定するとキーフリーシステムが解除されるので、ドアノブに触れてのロック解除はできなくなります。
洗車での拭き取り作業時に、リクエストスイッチに触れる度にドアロックが動作し、煩わしさを感じる場合があります。
このような場合にも節電モードはオススメとなります。
リレーアタック
節電モードは、昨今流行しているリレーアタックという盗難方法の防止にも有効となります。
ライズのキーフリーシステムは、電子カードキーを80cmの距離に近ずける事で動作します。
リレーアタックは、離れた所に保管してある電子カードキーの微弱な電波を増幅させて、ドアの解錠・エンジンの始動を行います。
節電モードに設定をすれば電波の発信自体が停止するので、増幅をさせる事ができなくなります。
節電モードの設定
節電モードの設定は、ロックスイッチを押しながら解錠スイッチを2回押します。
設定が成功するとランプが4回点滅します。
キーフリーシステムが無効化されるので、ドアの解錠をするには電子カードキーのボタンを押す必要があります。
電子カードキーのいずれかのボタンを押す事で節電モードは解除されるので、再設定したい場合にはその都度設定作業をしなければなりません。
毎回設定するのは煩わしいかと思いますが、長期間車に乗らない場合などには使いたい機能です。
セキュリティアラーム
キーフリーシステム(ドアノブに触れてドアロック)か電子カードキーのリモコンを使用してドアをロックすると、自動でセキュリティアラームがセットされます。
セキュリティ表示灯
セキュリティアラームが作動中はメーターパネル内のアイコンが点滅します。
この状態で電子カードキーを使わずに、ロックを解錠しドアを開けると異常な侵入とみなされてセキュリティアラームが発動します。
セキュリティアラームは停止させるまで、二段階で動作し続けます。
第一段階
車内にブザーオンが10秒間鳴ります。
第二段階
クラクション・ハザードランプが30秒間動作し、車外に異常を知らせます。
*エマージェンシーキーを使い故意にドアを開けた場合には、クラクションが鳴り響くまでに10秒間の猶予がある事になります。
エンジンの ON OFF
エンジンの始動
通常時のエンジン始動は、多くの車種と同様の流れとなります。
・電子カードキーを携帯
・シフトポジション位置をP
・フットブレーキを踏みながらエンジンスイッチを押す
エアコン脇のエンジンスイッチ
エンジンスイッチは長く押す必要はありません。
気温の低い冬などでも短くだけ押せば、エンジンがかかるまでMAX30秒間セルモーターが回り続けます。
その際、ブレーキペダルは踏み続ける必要があります。
エンジンスイッチモード(ACC)
フットブレーキを踏まずにエンジンスイッチを押す事で、エンジンを始動せずにシステムのみ起動することができます。
エンジンスイッチを押すごとに OFF → ACC → ON とループします。
OFF
シフトがP位置でハザードが使用できます。
ACC
アクセサリー電源が使用できます。
ON
全ての電装品を使用する事ができます。
エンジンの停止
シフトポジションをP位置にして、エンジンスイッチを押し停止させます。
P位置以外で停止させてしまうと、システムは起動したままとなるので注意が必要です。
その場合にはシフトをP位置にし、エンジンスイッチモード(上記)を変更する事でOFFにする事ができます。
電池切れ
電子カードキーにはコイン型の電池が内蔵されており、通常1〜2年の寿命となります。
電池の残量が少なくなると車両のメーターパネル内にメッセージが表示がされ、警告をしてくれますが、残量がゼロになってしまった場合でもエンジンを始動する事は可能です。
電池切れ時のエンジン始動
電子カードキーの電池残量が残り少なくなり、正常に機能しなくなった場合には以下の方法で対処します。
ドアのロック・解除はエマージェンシーキー(金属キー)を使用します。
エマージェンシーキーで解錠した場合にはセキュリティアラームが発動する事になります。
車に乗り込むとまずは車内にブザーオンが10秒間鳴り、その後にクラクションが30秒間鳴り響きます。
電子カードキーをエンジンスイッチ(スターターボタン)に近ずけると、ブザー音・クラクションは止まります。
フットブレーキを踏みながら、さらにそのままスターターボタンを押すとエンジンを始動する事ができます。
電子カードキーの電池交換
エマージェンシーキーの取り外し
電子カードキーの裏面に刺さっているので、ロックボタンを押しながら引き抜きます。
エマージェンシーキーが刺さっていた所とは逆側に、長方形の窪みがあります。
窪みにキーを差し、こじるとケースが開きます。
CR2032サイズのコイン型電池が1個使われています。
注意点
人間はミスをする生き物、ついうっかりというケアレスミスは日常に溢れています。
自転車で出掛けたにも関わらず徒歩で帰宅してしまったという事例は、大袈裟かもしれませんが良い例ではないでしょうか。
キーシリンダーの動作不良
キーフリーシステムを常用する場合、鍵穴を使う事はほぼなくなります。
長年放置してしまうとキーシリンダーの動きは悪くなってしまいます。
時折エマージェンシーキー(金属キー)を使い、施錠・解錠を行うのも良いかと思います。
しかし、その際には(エマージェンシーキーを使いロックを解除すると)セキュリティアラームが作動する事を認識しておいて下さい。
フォーンが鳴り響き、思わぬ騒音となってしまいます。
電子カードキーの携帯忘れ
冬の気温が低い場合には、ガラスの凍結や車内温度を上げる為に、長めの暖機運転を行う時があると思います。
エンジンの始動時と発車時に時間差がある為に、電子カードキーを持たずに発車するおそれがあります。
一時的に仮置きした事を忘れたり、エンジン始動後にキーをポケットに入れたままズボンを履き替えたなど、うっかりポイントは様々あります。
キーフリーシステムでは、電子カードキーの有無を常にモニタリングしているので、持たずに車内に乗り込むとメーター内に警告が表示されます。
この警告はカードキーを認識するまで表示され続けているので、見逃がす事はないと思いますが、これが最終警告となるので注意したいです。
万が一にも気付かずに発車してしまった場合には、大幅な時間ロスを被る事になるでしょう。
一度エンジンを切ってしまうと、電子カードキーがなければ再始動はできません。
電子カードキーを持っていない事に気付いた時点で、Uターンを余儀無くされる事になります。
エンジンの停止忘れ
キーシリンダー車の場合には、キーを抜けば自動的にエンジンが停止するので、エンジンを切り忘れるという事はまず考えられません。
車の乗降とキーの抜き差し作業はほぼ一体なので、鍵を持たずに車を離れれば否が応でも気づかされます。
キーフリーシステム車の場合では、鍵を抜くという行為の代わりにスイッチを押してエンジンを停止させなければなりません。
キーの抜き差し作業自体がないので、エンジンがかかっているまま車を離れてしまう可能性があります。
エンジンスイッチを押す(止める)のを忘れて車から離れても、電子カードキーは常に携帯している状態なので、違和感自体は感じられません。
慣れるまでは、意識的にボタン操作をしないと身に付きづらいと言えます。
防止策としては、エンジンがかかっている状態ではドアの施錠をする事はできません。
ドアロックがなされた事を確認する事で最終チェックとすべきでしょう。
ロック・アンロックと連動してドアミラーの開閉を行えば、ドアロック状態は一目瞭然となります。
設定をするには、車内のドアミラーボタンを真ん中のAUTO位置にします。
ドア内側のスイッチ
電子カードキーとエマージェンシーキー
電子カードキーを紛失してしまったり、水没して動作不能となった場合にはスペアキーでの対応となります。
エマージェンシーキーはあくまでもドアロックの操作のみとなり、エンジンの始動には電子カードキー本体が必要となります。
従来のように金属製のキーであるエマージェンシーキー単体を、バックアップとして携帯してもエンジンをかける事はできません。
電子カードキーとエマージェンシーキーは一体で携帯すべきものです。
まとめ
スマートキーには様々な方式があります。
車から離れると自動で作動する ”勝手にロック方式” はシステム任せとなり、安心感という面では賛否が分かれる所です。
ダイハツのキーフリーシステムは、リクエストスイッチを触れなければ作動しないので、キーレスレスエントリー感覚で使用ができます。
キーのボタンを押す代わりにドアの取っ手に触れるだけなので、ビギナーにもわかり易い仕様と言えます。
便利なキーフリーシステムですが、電池のバッテリー低下などはいつ起こるかわかりません。
動作不能に陥った場合の対処法を、事前に理解しておく事は大変重要だと感じます。
得てして忙しい場合に限って、そういった事案が発生するものです。
危機管理という面では選択枠は多い方が安心できます。
・スペアキーをいつでも使えるように備え、収納場所を把握しておく。
・予備のボタン電池をストックしておき、交換方法を確認しておく。
生活が便利になるほど、失われた際の反動も大きいものです。
備えあれば憂いなし、心に余裕を持ってカーライフを楽しみたいものです。